仕事を終えて外に出ると、空気が冬の匂いに変わっていた。
吐く息が白く伸びて、街の灯りが冷たい空気の中に滲んでいる。
「少し、登ってみようかな」――そんな気まぐれで向かったのは、札幌の三角山。標高311メートル。
通い慣れた山も、11月下旬から3月にかけてはまるで別世界だ。
静けさが空気の中に溶け込み、街の喧騒が遠くへ消えていく。
なぜ“仕事終わりナイトハイク”に三角山を選んだのか
三角山は、市街地から車で15分ほど。
登りは片道30〜40分。仕事帰りでも無理なく歩ける。
この冬の時期は熊の活動も落ち着いていて、安心して歩ける季節。
11月下旬から3月にかけては空気が澄み、夜景がくっきり見える。
乾いた空気の中で、街の光が遠くまで澄んで見えた。
冬のナイトハイク装備とレイヤリング
- ヘッドライト(200ルーメン以上)
- ベースレイヤー:メリノウールや速乾インナー(汗冷え防止)
- ミドルレイヤー:フリースや軽量インサレーション
- アウター:防風性のあるシェルまたはダウン
- ボトムス:裏起毛タイツ+ソフトシェルパンツ
- 小物:手袋、ネックゲイター、ニット帽
1月の札幌は夜になると−5℃を下回ることもある。
寒さを避けるより、受け入れるくらいの気持ちで。
冷たい空気の中を歩いていると、少しずつ頭の中が整っていく。
登山ルートと、夜の“静けさ”
登山口に足を踏み入れると、ライトの光が雪に反射して足元を照らす。
踏みしめる音だけが小さく響き、世界が少しずつ静まっていく。
木々の隙間から街の灯りが見えるたび、
疲れよりも「もう少し先まで」と思う気持ちが勝っていく。
夜の山は怖いと思っていたけれど、冬の三角山は穏やかだ。
風が止むと、世界の音がすっと消える。
その静けさが、心の奥まで染みていく。
山頂でのご褒美時間
山頂に着くと、札幌の夜景が一面に広がる。
雪をかぶった街が、光をまとって静かに輝いている。
ポットに入れてきたコーヒーをカップに注ぎ、両手で包む。
指先がじんわり温まり、香りがゆっくり広がっていく。
寒いけれど、不思議と心は落ち着いている。
一日の終わりに、自分だけの“おつかれさま”を山頂で味わう時間。
下山と、家で待つ柴犬
帰り道は、登るときより街の光がやさしく見える。
山の上から街の光を眺めると、いつもの日常が少し遠くに見えた。
家に帰ると、柴犬の乃亜がこちらを見上げていた。
尻尾は振らない。けれど、その目が“おかえり”と話しかけてくる。
ストーブの前に座り、乃亜の背中を撫でる。
山の静けさと、家のぬくもり。
そのどちらも感じられる冬の夜が、好きだ。
三角山ナイトハイク まとめ(メモ)
| おすすめ時期 | 11月下旬〜3月(熊の活動が落ち着き、空気が澄む) |
|---|---|
| 所要時間 | 往復約1時間 |
| 登山口 | 山の手登山口(駐車約10台) |
| 装備 | ヘッドライト、防寒着、冬のレイヤリング必須 |
| 難易度 | ★☆☆(初心者OK) |
夜の山は、少しの勇気とライトひとつで楽しめる。
街を見下ろしながら、今日を静かに手放す時間。
それが、冬のナイトハイクのいちばんのご褒美かもしれない。




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