夏の間は、あんなに軽い足取りで山を歩いていたのに、雪が積もると、不思議と気持ちまで足踏みしてしまう。
「冬山って、ちょっと怖そうだな」——そんなふうに思う人は多いと思います。
でも、本当のところ、最初の一歩はそんなに難しくありません。里山なら、少しの工夫で冬でも歩ける。静かで、空気が澄んでいて、夏にはなかった景色が待っています。
いつもの靴に、ちょっと厚めの靴下を
いきなり厳冬期の大雪山に挑む必要はありません。まずは藻岩山や円山、三角山のような、身近な里山から。
厚手の靴下と防水のミドルカット以上の登山靴。それだけでも、意外と雪の道を歩けてしまいます。雪を踏む「ギュッ、ギュッ」という音が、耳に心地よく残るはずです。
服装は「秋+α」で十分
冬山といっても、いきなり完全装備にする必要はありません。秋のレイヤリングに、インナーを一枚追加したり、薄手のダウンや中間着を加えるくらいでちょうどいい。
動いていると意外と暑くなるもの。「少し寒いかな」くらいが、実は快適です。秋の服装については、以前の記事「秋登山の服装とレイヤリング」でも紹介しています。
トレースを辿れば、道は見えてくる
人気の里山なら、誰かが歩いた跡—トレース—が残っています。その上をたどっていけば、雪に埋もれることもなく、思っているよりずっと快適に登れるはずです。
雪が締まっていれば、チェーンスパイクや軽アイゼンで十分。人が少ない場所に行くときは、スノーシューがあると安心です。

冬のうちに歩いていれば、春が楽になる
もうひとつ、冬山を歩く大きな理由があります。それは、体力を落とさずに春を迎えられること。
冬の間まったく登らないと、春に再び登山を始めたとき、「あれ、思ったよりキツい…」と感じるもの。でも、雪の上をゆっくり歩くだけでも、体はちゃんと覚えていてくれます。
ポットにお湯を、少しの余裕を
冬の山は、立ち止まるとあっという間に冷えてしまいます。そんなときの保温ポットは、まるで小さな魔法。お湯を注いだマグから立ちのぼる湯気に、心まで温まります。
甘いコーヒーでも、スープでも。ちょっとした“ご褒美の時間”が、冬山の楽しみのひとつです。
無理に登らなくていい
夏山では「せっかく来たんだから、頂上まで」と思ってしまうけれど、冬の山は、そうじゃなくていい。雪が深くなったり、風が冷たくなったら、「今日はここまでにしよう」でいいんです。
無理に登頂を目指さなくても、白い森を歩くだけで、じゅうぶん満たされる時間があります。
そして、冬の一歩を
最初の一歩を踏み出すと、雪の上に自分の足跡が並んでいくのが見えます。ただそれだけのことなのに、どうしてこんなに心が静かになるんだろう——そんな時間。
冬の山は、思っているより、ずっと優しい顔をしています。ゆっくり歩いてみてください。きっと、好きになります。




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