柴犬と暮らしていると、
「抱っこ大好き!スキンシップばんざい!」
みたいなテンションには、まず出会えません。
わが家の乃亜(柴犬)は、特にその傾向が強いタイプ。
しっぽで感情は読めないし、声でアピールするわけでもないし、なんというか…
悟りを開いた仙人みたいな距離感。
そっと近づくと、
「いや、今そういう気分じゃないんで」
とすっと身を引く。
でも、たまに気が向いたときだけ歩いてきて、
ぽすんと横に座る。
柴犬の触れ合いって、
こちらの思うタイミングではなく、あくまで“犬の都合”。
そういう生き物なんだと思います。

柴犬はなぜ触らせてくれないのか
まず、「うちの子だけおかしいのかな?」と思ってしまいがちですが、
柴犬が慎重なのには、ちゃんと理由があります。
- 警戒心が強く、初対面のスキンシップが苦手
- 顔まわりや足先など、触られたくない部位が多い
- 子犬期にあまり触られず育つと、“触られる経験”が少ない
- 上から来る手が苦手(急所を守る本能)
柴犬は「距離のある優しさ」が基本設定。
急に触られるより、
「まずは横に座るところから」くらいがちょうどいいのです。
それに、柴犬は「触っていいよ」と「今日は無理」をはっきり分けるタイプ。
近づき方次第で、受け取り方が大きく変わります。

子犬のころから“少しずつ触る”が一番効く
とはいえ、小さいうちから触る習慣があると、
成犬になってもずっとラクになります。これは本当に大きい。
たとえばこんな感じで、
触る“練習”をしておくのが大切です。
- 頭 → 耳 → 鼻 → 口まわり(顔の周り)
- 背中からお尻 → しっぽの付け根
- 横になっている時には、お腹 → 手足
手足は特に嫌がりやすいので、
最初は指先で“ちょん”と触るだけでもOK。
最初は1〜2秒で十分。
優しく触って、ごほうびをあげて終わり。
これを繰り返すと、犬の中で
「触られる=嫌なことじゃない」
という記憶に少しずつ上書きされていきます。
顔まわりは特に慎重に。
正面から手を出すのではなく、
横からそっと近づけると安心しやすいです。
“気持ちいい手”は、安心をつくる
犬は、手の感触をよく覚えると言われています。
特に柴犬のように慎重で繊細な子ほど、
「この手は安心だ」
と感じてもらえるかどうかが、本当に大事です。
頭や首を撫でるときの、あの優しい動きを全身にも広げていく。
そうすると、触られることが“ケアされる時間”ではなく、
“ちょっと気持ちいい時間”に変わっていきます。
不思議なんですが、触り方を変えるだけで態度が変わります。
ゆっくり撫でる → 深く息を吐く。
軽く触る → 体が沈む。
そんな小さな変化に気づけるようになります。
触らせてくれるようになると、こんないいことがある
触らせてくれないと困るのは、“かわいがれない”だけじゃありません。
日常生活のメリットもかなり大きいです。
- 散歩の後の足拭きがスムーズになる
- ブラッシングを嫌がらなくなる
- 爪切りも落ち着いてできるようになる
- お腹や脇の下まで触れるようになる
そして一番大きいのは、
体を触ることで、健康チェックがしやすくなること。
日頃から体に触れていると、
- できもの
- 皮膚の荒れ
- 小さな腫れ
- ノミ・ダニ
- 体つき・体重の変化
など、ほんの少しの違和感にも気づきやすくなります。
柴犬は痛みや不調を隠しがちな犬種なので、
「目」よりも「手」で気づく感覚は、思っている以上に大切です。
成犬からでも遅くない。ゆっくりでいい
「うちの子、もう3歳だけど…」
という声もよく聞きますが、結論から言うと大丈夫です。
成犬からでも、ゆっくり触れるようになっていきます。
コツはシンプルで、だいたいこの3つ。
- 相手のペースを尊重する
- 触るのは短く、やめるのは早く
- 触られに来てくれた瞬間を大切にする
柴犬には、それぞれ「自分のペース」があります。
距離をとっていたい時間に無理に触りに行くと、ますます警戒されます。
逆に、そっとこちらに歩いてきて、
鼻で手をぐいぐいと押してくることがあります。
これは、乃亜の場合の「撫でてほしい」サイン。
そのまま私の手を額に押し当ててくることもあって、
思わず笑ってしまいます。
頭を撫でてあげると、
乃亜はゆっくり腰を落として座り、
そのままコテンと寝転がることも。
あの慎重派の乃亜が、自分から体を預けてくれる瞬間。
この変化を見るたびに、
「触れ合うって、こんなに心を溶かすんだ」と感じます。
こんなふうに、触られに来てくれた瞬間は、
犬からの大きな信頼のサイン。
そのタイミングで、
背中 → 首 → お腹 → 手足…と
少しずつ触る範囲を広げていくことで、
距離がゆっくり縮まっていきます。
乃亜の場合:しっぽが語らない柴犬の、ささやかなOKサイン
乃亜は、しっぽが動かないタイプの柴犬です。
喜んでいるのか、怒っているのか、まず見た目ではよくわかりません。
だから最初のころは、
「ここまで触って大丈夫?」
「これは嫌じゃない?」
と、毎日が探り探りでした。
それでも、ゆっくり触って、
やめて、また触って…を繰り返しているうちに、
ある日ふと、横に座ってきました。
その時にそっと背中に手を置くと、
ほんの少しだけ体の力が抜けて、
「今日は大丈夫」って言っている気がしました。
柴犬の“触ってOKサイン”は派手じゃありません。
静かで、小さくて、気づきにくい。
でも、そのささやかなサインが、たまらなく愛おしいのです。

まとめ:触れることは、信頼を重ねること
触らせてくれない柴犬は多いですし、
それは“性格”でもあり、“本能”でもあります。
でも、
- 気持ちいい触り方
- 犬のペースを尊重する時間
- そっと差し出す、安心の手
それらが積み重なると、
少しずつ、心のドアが開いていきます。
そしてそれは、
かわいさを増すためだけじゃなく、
健康や安全を守るためにも、とても大切なコミュニケーション。
触れる柴犬との暮らしは、
思っている以上に、あたたかいです。


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