登山で、なぜか日によって「今日はやけにしんどいぞ…?」と感じることはありませんか?
私はありました。というか、ほぼ毎回でした。前を歩く人のペースに合わせようとするあまり、呼吸はバタつくし脚は重いし、気づけば「登山」ではなく「追いかけっこ」みたいになっていた日すらあります。
複数人で歩くと歩幅もリズムも揃わず、心の中は大混乱。ペースが合わないと、歩いているのに“歩かされてる感”がすごいんです。
そんなある日、ふと思いました。
「今日は、自分のペースで歩いてみよう」
半ばヤケ気味でそう決めて歩き出したら──驚きました。
息が乱れにくい。
景色がちゃんと目に入ってくる。
そして…なんだか山がいつもよりやさしい。
まるで、「あ、今日は急がないんだね」と山に穏やかに見守られているような、不思議な感覚でした。
「あの“調子が良かった日”って、きっと今日みたいに自分のペースで歩けてたんだ。」
その気づきは、小さなものだけど、歩き方を変えるくらい大きな発見でした。
登山で「今日は妙に疲れる」理由は、ほんの小さなペースのズレ
登山でしんどくなる原因って、体力不足でも寝不足でもなく、ただ“ペースが合っていないだけ”ということがよくあります。
- 周りのペースに引っ張られる
- いつもより大股になる
- 息が乱れても止まらずに歩く
こうした小さなズレが積み重なって、後半にドッと疲れが出るんです。
反対に、自分のペースを守ると登山は驚くほど楽になります。
- 呼吸がラクになる
- 脚が疲れにくい
- 景色を楽しむ余裕ができる
- 転倒しにくい
- 「また登りたい」と思える
ゆっくり歩くのは“手抜き”ではなく、ちゃんとした登山スキルです。
最初の30分で、その日の登山がほぼ決まる
登山ではなぜか「序盤だけ妙に元気」という現象が起きがちです。
「今日の俺、調子いいぞ!」と勢いのまま突っ走ってしまう──でもこれが危険。
序盤でペースを上げると、
- 体温が急上昇
- 心拍が跳ね上がる
- 呼吸がバタつく
- 後半が一気にきつくなる
という“やってはいけない四重奏”が始まります。
実は登山こそ、
「最初の30分は遅すぎるくらいゆっくり」がベスト。
ゆっくり歩くと、体が目を覚まし、呼吸が整い、自然とリズムが合ってくる。「ちょっと遅いかな?」くらいのスピードが一番効率も良く、結果的に最も強い日になったりします。
休憩の落とし穴。長く休むと逆にバテる理由
山のベンチでのんびり休むのは最高ですが、再スタートで「うっ…」となるあの感じ。ありますよね。
あれは、
- 脚が急に重くなる
- 心拍が落ちすぎて再スタートで急上昇する
- 体が“休憩モード”になってしまう
といった理由が重なって起きています。
だから長い山行ほど、
- 短くこまめに休む
- 立ったまま水だけ飲む休憩も入れる
- 序盤の30分はとくにゆっくり歩く
この3つを意識するだけで、後半の踏ん張りがまったく違います。
心拍数で分かる“ちょうどいいペース”
登山のペースは、心拍数を見ると驚くほど分かりやすくなります。
最大心拍の一般的な目安は、220 − 年齢。
30歳なら最大心拍は190前後です。
🔴 息が荒くなるゾーン(避けたい)
最大心拍70〜85%(133〜162)
→ 会話は無理。登山では疲れやすいゾーン。
🟡 少し負荷があるゾーン
最大心拍60〜70%(114〜133)
→ 息は弾むけど歩ける。安定ペース。
🔵 快適ゾーン
最大心拍55〜60%(105〜114)
→ 呼吸ラク、景色を見る余裕あり。
ゆっくり歩くと、心拍は自然と100〜120台に落ち着きやすい。
この範囲にいれば、初心者でもラクに歩けることが多いです。
スマートウォッチなしでも分かる“余裕のサイン”
「スマートウォッチ持ってないし…」という人も安心してください。感覚だけでも十分わかります。
- 鼻呼吸ができる
- 短い会話ができる
- 歩幅が広くなっていない
歩幅は正直で、しんどいと勝手に大股になります。一歩小さくするだけで呼吸がふっと楽になることもよくあります。
ちょっと苦しいなと思ったら、
- 歩幅を一歩ぶん小さくする
- 30秒だけゆっくり歩く
- 息を「吐く」ほうを意識する
これだけで全然違います。
登山でApple Watchが便利な理由。ペース管理と息上がり防止に◎
スマートウォッチがあると、自分の状態を数字で見られるので、ペース管理がとても楽になります。
- 現在の心拍
- 心拍の上がり方
- 飛ばしすぎの早期発見
「なんか息上がってない?」と思って画面を見ると、案の定心拍が上がっていたりします。そこでペースを調整できるのが大きなメリットです。
数字が見えると、
- 無理する前にスピードを落とせる
- 疲れるポイントが把握できる
- 登山後にデータで振り返れる
良いことがたくさんあります。
心拍数はあくまで目安。数字より“感覚”の日もある
心拍数は便利ですが、あくまでひとつの指標。
登山は、体調・荷物・気温・睡眠・標高などで負荷が大きく変わります。
数字だけに頼るとズレることもあるので、
- 呼吸が苦しくないか
- 脚が重くないか
- 景色を楽しめる余裕があるか
といった“体の声”も大切にしてください。
ゆっくり歩くことは登山技術。ペースが整うと山がやさしくなる
登山は誰かと競争するものではありません。
“自分のペース”こそ、いちばん遠くまで連れていってくれる。
最初の30分をゆっくり歩くだけで、山は静かに、やさしく感じる日が増えます。
焦らなくて大丈夫。山は逃げません。あなたの歩幅で歩き出せば、それで十分です。



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